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東京都稲城市立城山小学校

 このページは、「2003年度 第37回 論文・作文募集」《研究助成の部》に入選され、2年間の助成研究に取り組まれた東京都稲城市立城山小学校の特設ページです。

入選研究テーマ 地域に伝わる伝統音楽・伝統芸能を取り入れた小学校での授業の創造
研究団体 東京都稲城市立城山小学校
二見美佐子(研究担当教諭)

助成研究報告

日時 2005年11月22日(火) 13:40~16:30
会場 東京都稲城市立城山小学校
主催 東京都稲城市立城山小学校
共催 財団法人音楽鑑賞教育振興会
後援 稲城市教育委員会/東京都小学校音楽教育研究会

 2005年11月22日(火)、2003年論文・作文募集《研究助成の部》入選の、東京都稲城市立城山小学校 二見美佐子教諭による研究成果の発表会が開催されました。快晴で迎えた当日、群馬・千葉・東京などの先生方、また保護者や地域の方々を含め、およそ150名の方々がご参会くださいました。

 この研究発表は、学習指導要領にうたわれている「我が国の音楽」「郷土の音楽」をどのように授業に取り入れたらよいか、その提案として教材や全校をあげて取り組んだ実践を発表したものです。以下、発表当日の流れを追いながら、ご報告します。

児童発表・演奏
6年生 ふるさとの音楽と和楽器を織り込んだ創作曲演奏

 6年生みんなで作った曲を二見先生などがつなげて合奏曲に仕上げた合奏組曲「稲城」の演奏です。4楽章から成る組曲で、第1楽章「稲城の朝」、第2楽章「いにしえから今」、第3楽章「稲城の産業 なしづくり」、第4楽章「発展する稲城」です。第1楽章、第4楽章は木琴、リコーダー、アコーデオン、大太鼓、小太鼓などの合奏、第2楽章は篠笛と和太鼓の合奏で(第3楽章は省略でした)、それぞれの楽章への思いを発表しながら堂々と演奏を披露してくれました。

4年生 「ふるさと伝統芸能調査隊として調べた郷土の音楽と実演

 地域のお祭りや神社に残っている郷土芸能を調査し、その中から実際に地域の方々に教えてもらった「しし舞」を、リコーダー、お囃子の太鼓、唄で実演してくれました。また、「調査を進めるうちに、単なるお祭りの音楽と思っていた音楽が、実は音楽の中には人びとの思いや願いがたくさん詰まっていることが分かった」という発表もありました。

公演「江戸の里神楽」
校内演奏会、ゲストティーチャーとして子ども達と交流した山本社中による神楽の公演

 この神楽は、稲城市矢野口に、室町時代初期に創始したと伝えられている、600年以上にわたって受け継がれている神楽で、国の重要無形民俗文化財に指定されています。宗家の山本頼信氏は19代に当たります。

 この日は、「八雲神詠」いわゆる「やまたのおろち」退治の話を演じてくださいました。また、それに先立っては、舞台を清めるための「式三番」を舞ってくださいました。

研究発表 二見美佐子教諭
「地域に伝わる伝統音楽・伝統芸能を取り入れた小学校での授業の創造」

 なぜこの研究を始めたのか、その出発点から発表が始まりました。

  • 校区は新しい住宅が立ち並ぶ地域で子どもたちも郷土の音楽に関心が低い。
  • 日本音楽をどのように授業に取り入れていったらいいか手探り状態であった。
  • 校内鑑賞教室をやめざるを得なくなり、音楽科として何としたいという願いがあった。

という現状から、自分の勤めている学校の周りを見渡すと

  • 稲城は歴史遺産が豊富で郷土芸能保存会も多い。

ということが分かり、さらに

  • 自分の郷土のことを知って誇りにしてもらいたい。
  • それによって他の地域、他の国の芸能文化を大切にできる子どもが育つのではないか。

ということが、郷土芸能を授業で取り上げる意義だと考えられた。

 また中学校にいって能や歌舞伎などの伝統芸能を鑑賞していくときに、神楽には能や歌舞伎などの様式がいっぱい詰め込まれており、小学校での導入としては非常によい教材と考えられる。

 そして地域に350年以上前から伝わる三匹獅子舞は、歌、器楽、踊りの表現教材として、どの学年にも対応できる教材性が高いもので、さらには、地域の人との関わりで子どもが育てられるという大きな利点があることがわかった。

 どんな地域にも必ず郷土の芸能はあると思うので、是非調べて授業に取り入れて欲しい、という提案でした。

講評
松本康先生(香川大学教授)

 今回の発表は、学習材として、音楽が暮らしの中に息づいて、音楽の中から人の思い、歴史、文化などを読む力がついていくのではないかと感じました。音楽を基点に、疑問に思ったこと、分かったことなどから事柄としていろいろなものへつながりを作っていき、文化を読む力を育てていくことは大切であると思います。その観点からも、意義のある発表でした。

金本正武先生(千葉大学教授)

 この研究発表は、まだまとめの部分が残っていると聞いています。そのまとめに向けてお願いしたいことは、「この教材でこんな実践をしました」という紹介に終わるのではなく、この実践で子どもにどんな資質・能力を育てるのか、そして音楽科の授業の中でどのようなバランスをとってこの実践をするのかをまとめて欲しいと思います。

※二見先生の研究は4分の3が終わったところで、今回の発表は中間発表でしたが、2006年にはこの研究が冊子にまとまります。

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