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電子黒板活用報告
「ICT活用は怖くない!私の心強い相棒は電子黒板」

千葉県船橋市立三咲小学校教諭(執筆当時) 田中舘 裕美
(月刊「音楽鑑賞教育」2009年12月号から)

電子黒板の大画面での鑑賞だけでも大満足だったはずが

 私が勤務する船橋市は小学校1校につき、電子黒板が1台配置されています。もともとコンピュータ室に設置してあり、同じフロアであれば移動も可能。偶然?!にもコンピュータ室の隣に音楽室があるので、「大画面で映像を見られるなぁ」と簡単に考えて運んできてしまったことが電子黒板を利用するきっかけでした。音楽室にはブラウン管の25型テレビ(現場ではまだまだ現役)が設置されていましたが、その小さい画面では全員で鑑賞をすることはできないので、グループ分けして見るか無理して全員で顔を寄せて見るしかなく、なかには見えていない児童もいて一斉に情報が伝わらず手間も時間もかかり、感動を同時に共有できていませんでした。

 電子黒板に替えて、子どもたちからも「(後ろの席でも)よく見える」「(演奏者の)手元が見える」など好評でした。私も「みんなで目的をもって見ることができる」と満足していました。ところが、電子黒板の大画面で映像を鑑賞するだけではもったいないと考えるようになってきました。電子黒板はタッチペンで線や文字の書き込みができる、パソコンの画面を見ないで画面上でクリックできるなどいろいろな機能があります。この機能を何らかの形で授業で使えないかと思っていました。

 音楽の授業ではたくさんのCDやDVDなどを1時間の授業のなかで使います。特に「世界のいろいろな音楽」の授業を展開するときに、何枚も必要になるCDとDVDをいちいち入れ替える作業を少しでも楽にできないかといつも考えていました。それはもしかしてMicrosoft社のソフトウェア「Microsoft® PowerPoint®」で解決できるのではないかと思い、教材を少しずつ作成するようになりました。授業で使ってみるととても便利で快適でした。どのクラスでも同じスライドで同じ説明の授業が展開できるので、準備さえしてあればクリック一つで保存されたスライドが開き、スムーズに授業を進めることができます。一度教材を作成すれば、翌年は少し修正する程度で準備が楽になりました。また、スライドに線を書き込みその場で強調することができたり、子どもの顔を見ながらスライドを進めたりすることができました。

私が授業で活用している電子黒板教材
アジアの国々の音楽(5年)/世界の国々の音楽(6年)/郷土の音楽(4年)
金管楽器の音を聴き比べましょう(3年)/管楽器の音を聴き比べましょう(4年)
弦楽器の音を聴き比べましょう(5年)

授業にあわせて、展開を変えることができる授業支援ツール

 「Microsoft PowerPoint」でも、授業場面での教材修正はできません。授業中に修正するならば、画面をスライドショーから作成モードに。全スライドが見えてしまい仕込んだこちらの手の内をあかすことになるため、あまり子どもたちの前では操作したくありません。そこで、ONKANウェブネットの「授業支援ツール」が便利であると聞き、利用してみることにしました。

 このツールは、授業中でも画面(スライドに相当)に教材(アイテム)をドラッグしてその場で画面を作り直すことが可能です。また、画面上に文字を書き込んだり、クラスごとに授業で書き込んだ画面を保存したりすることもできる便利なツールです。

授業支援ツールを活用した授業展開

 今年から担当する低学年に説明をするのは思っていたより大変で、低学年は「知ってること・もの」の個人差が大きく、一斉に先生の話を聞いて一斉に共感することができないことが多いものです。それだけに、「想像して」という呼びかけにもすんなり想像できる子どもと想像することが苦手な子どもの差があります。そこで、できる限り子どもたちが同じ条件で授業に取り組めるようにと展開を考えました。

 まず、提示画面も書いてある情報も極力減らしたことで、子どもたちがそれぞれの思いを発表できる雰囲気を大切にした鑑賞の授業になりました。

展開例

題材名:楽しい音楽のひみつ
ねらい:音楽を形づくっている要素のかかわり合いを感じ取って聴く。
教材:シンコペーテッド・クロック
作曲者:アンダソン(CD:VPCG-84691)

 授業前の準備:授業支援ツール、電子黒板、パソコン(画面は電子黒板に、音はオーディオ機器につなぐ)、CD(パソコンに取り込んだ場合は不要)。私はホワイトボードもそばに念のため設置しておきます。

 低学年の子どもたちは「音楽を聴いて想像すること」が大好きです。そして、その想像は大人が計り知れないほど広がります。それだけに、ある程度想像する方向性をもたせていくことが必要です。そこで、授業支援ツールで「質問」「箱のイラスト」を示し、「Windows Media® Player ONKAN スキン」を利用してCDを再生します。

発問「はこのなかには、なにがある?」


 便利なことに、CDプレーヤーの所に移動することなく、電子黒板画面上で操作するだけ。子どもたちを待たせることなく再生できます(再生はABA構成の、AとBのみ)。子どもたちには事前に楽曲名を伝えません。

 子どもたちは、電話・オルゴール・時計・CDプレーヤー・結婚式場(?!)・トライアングルなど箱に入っていそうなものを想像します。

*ここでは、音楽を聴いて気が付いたことや心のなかに描いた様子を教師側が聞き出し、板書します。教師と児童の応答のなかで一人ひとりの感じ方のよさを認め、友だちの感じ方に気付くようにします。低学年特有の「自分の思いを先生に聞いてもらいたい」という気持ちを大切にしています。

 ここからは、子どもたちと会話しながら進めていく場面です。タッチペンを使用し、子どもたちの気付きを電子黒板に書き込みます。あらかじめ「はやさ」「リズム」「音」のフラッシュカード(画面右上)を画面に貼り付けておき、必要に応じてドラッグし子どもの気付きに添えることもあります。そうすることで、音楽的な要素を表す言葉をどう伝えればよいのかわかっていきます。

*ここでは、楽曲を聴いて想像したことや感じ取ったことの理由を音楽の中から見つけて、音楽を特徴付けている要素や仕組みに気付くようにします。さらに、聴いて感じ取ったことを伝え合い、友だちの感じ方に気付き、感じ方の幅を広げていきます。

発問「どうしてそうおもったのかな?」


 子どもたちは何回も途中までしか再生しない私に対して、疑問を抱きます。「何でこの曲を最後までかけないの(聴かせてくれないの)?」

 「それはね、音楽を聴きながらこれからを想像してもらいたいからです。」

 あらかじめ私はこの曲だけではなく、鑑賞する曲をチャプター分けして保存しています。その方が聴かせたいところからピンポイントで再生することができるからです。今度は最後のAの部分から聴きます。子どもたちは、「さっきと同じだね」「なーんだ、何にも変化が起こらないじゃないか」という反応をして安心しているところ、曲の最後「ウッドブロック」のリズムの変化に気付きやすいところにさしかかると、画面の「さいごにはどうなるかな?」をじーっと見つめ、「あのね…」と話し始めます。

 子どもたちは、「こわれちゃった・困っている・ねじが飛んだ・(起こしても起きないので時計が)おこっている」など、それぞれ想像して答えてくれます。

発問「さいごにはどうなるかな?」


*ここでは、曲の終わり(コーダ部)に気を付けて聴き、最後には特徴あるウッドブロックのリズムが突然変わり、その意外性からなる音楽の面白さを感覚的に気付くようにします。

 この授業を展開して、音色やリズム、旋律など音楽を特徴付けている要素のかかわりに子どもたちが気付くことができました。

ICT機器活用の今後の課題

 授業支援ツールの良いところは、授業を展開しているその場で話の流れに沿って画面を作り替えていくことができることです。展開によっては、貼り付けてあるものは同じでも、子どもの気付きなどの発表に合わせて書き込みや貼る場所を変更でき黒板のように使えるところです。低学年でも高学年でも活用できる場面はたくさんあります。

 しかし、地域によっては教育委員会が指定するソフト以外は基本的にインストール禁止であるため、ソフトウェアをダウンロードできない場合があります。そして何よりも、「いざ授業を」と思ってパソコンを立ち上げて不備があったとき、動揺せず話術でつなぎ、すぐにでも黒板を利用した展開の方法に変えるなど機転を利かせなくてはなりません。そういう場面にも遭遇することがあることをあらかじめ考えておくことが必要です。

 授業支援ツールを使ったりして、一度教材を電子化し保存したものは子どもの実態に合わせて作り替えたり修正したりを繰り返しながらだんだん使いやすいようになって授業別、学年別にストックされています。準備する時間がない時でもとりあえず前回保存したもので授業を展開したりすることもあります。

 「授業にパソコンを活用するのは苦手です…」とおっしゃる先生がいらっしゃるのも事実です。「拡大歌詞カード」や「授業に必要な黒板に貼るもの」など同じ教材で毎年、授業のたびに同じものを何度も作っていませんか。そういう手間のかかる授業準備から電子化し、授業に取り入れていけば無理がないと思います。私のように音楽専科であれば、毎時間目の前に座っている子どもたちが入れ替わり…そして、授業の進度はクラスごとにバラバラということがあります。しかし、そんな場合でもクリック一つでその時間ごとに展開できる下地があることはとても心強いです。

 まだまだ、私自身もいろいろな教材を制作している途中です。授業をしていて「あっ、この場面で使える」を思うことなどを少しずつ形にしています。今、完成しなくても次の授業で、とラフに構え、子どもたちの反応を見ながら修正したりすることを繰り返しています。

 ICTの活用は決して怖くありません。先生方の心強い味方です。


※Microsoft PowerPoint、Windows Media は、米国Microsoft Corporationの、米国、日本およびその他の国における登録商標または商標です。

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