音楽科教育とICT ―ICTを活用した効果的な指導のために

ONKANウェブネット > 音楽科教育とICT > 電子黒板活用報告 > 電子黒板の普及を目指して

電子黒板活用報告
「電子黒板の普及を目指して」

東京都東村山市教育委員会指導主事(前東京都福生市立福生第三中学校教諭) 小作典子

 思い起こせば、あれは1年前。自主研修で音鑑の資料室(世田谷区)に伺い、そこで「電子黒板」という画期的なものがあることを知りました。「これは授業で使えたら便利だなぁ」と、この機材を活用する授業が様々に思い浮かび、機会があれば研究させていただきたいとお願いしました。早々にお借りできることとなり、7ヶ月間、実際に授業で使用させていただきました。そして、昨年の全日音研の全国大会では、電子黒板を使用した授業実践を、公開授業として発表いたしました。
 本稿では、2010年3月まで前任の中学校で研究を行なった「音楽科授業における電子黒板の活用」について、感じたことや活用例をご紹介したいと思います。

前時の学習内容を提示できる

 中学校音楽科の授業は、残念ながら週1回しかありません。「前回の授業を振り返ってみよう」と授業導入で投げかけても、子どもたちの反応がイマイチだったことはありませんか?
 電子黒板とパソコンを使うと、板書した内容を記録・保存しておくことができます。授業終了後、クラスごとに学習した内容を保存しておき、次時の導入で「前回の授業では、みなさんはこのようなことを感じ取ることができたよね。思い出してみよう」等と発問しながら、画面を表示して授業を進めることができるため、前時の振り返りが容易になります。子どもたちも、あちらこちらに目をやる必要がなく、電子黒板の画面にだけ注目すればよいので、集中させやすくなりました。
 また、子どもたちが知覚感受したことを記録・保存しておくことができることは、教師にとって、翌年同じ題材を授業する際に発問の仕方等の工夫や改善につなげることができるため、授業の内容をバージョンアップする手助けともなりうるのです。

今何をすべきなのか子どもたちに理解させやすい

 私は授業で学習カード(ワークシート)を使います。例えば、音楽を聴いて感受したことを学習カードに記入させたい場合、それを言葉だけで指示すると、説明した内容のすべてを子どもたちが記憶しきれず、「えっ?どこに書くの?」等と質問があがり、もう一度同じ説明をしたり、個別指導が必要となったりするケースが多くあります。
しかし、学習カードに記入させる前に、同じ学習カードを電子黒板の画面に表示し、「この部分に、例えばこのように記入してみてね」と説明すると、子どもたちの学習活動の効率が格段にアップします。耳だけではなく目で見て情報を理解するため、学習内容に対する理解度が上がり、スムーズに学習を進めることができるのです。

視聴覚機器が電子黒板1つにまとまる

 私は授業でさまざまな視聴覚機器を使います。「この授業のこの場面ではこれを聴かせたい、あれを見せたい」と、使用する媒体にこだわって授業しようとすると、それはもう大変な労力です。例えば、<CD1枚目再生→CD2枚目再生→DVD1枚目再生→VHS再生→DVD2枚目再生>等と、1時間の授業の中でいろいろなリモコンを使ったり、機器の前に移動したり。再生のタイミングがうまく合わず、再生前に変な間ができてしまって、50分しかない授業なのに時間がもったいないと感じることもしばしばあります。
 電子黒板を使うとそれが解消されます。パソコンに必要なデータを取り込んでおけば、図のように教師が電子黒板の前でタッチパネルやリモコンを操作するだけで授業を進めることができます。動き回ったり、再生のタイミングを心配したりする必要がなくなり、とても効率的です。データをCD-RやDVD-R等に焼き付けると画質や音質が劣化してしまうこともあったのですが、パソコンに取り込むこの方法では、音質の劣化を感じることもなくなりました。一度授業の準備をしてパソコンに保存してしまえば、翌年同じ授業をするときには、パソコンに保存されたデータを呼び出し、授業改善のために一部を更新すればよいだけなので、短時間で準備することができます。


 終わりに、電子黒板が各学校に配置されつつあります。電子黒板の必要性を実証するためにも、まずは、各学校にある大きなテレビとパソコンをつなげ、学習カードを拡大して表示するところから始めてみてはいかがでしょう。いつの日か電子黒板が普及した際に、上記のような活用ができるよう、下準備をされておくことをお勧めします。


2010年6月

ページの先頭へ戻る