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Report & Information 2009年9月

GLOBAL 森重行敏

〈BOOK & CD & PERFORMANCE〉
親指ピアノ道場!
親指ピアノ道場!

サカキマンゴー著 (ヤマハミュージックメディア 本体1,200円+税)

 ついに出た待望の1冊。親指ピアノは最近でこそ民芸品店などでも見かけられる比較的身近な存在になったが、素朴な外見からして、これがアフリカを代表する魅力的な楽器であることは見逃されがちなのかもしれない。本書が書店でピアノ教本の横に並べられていたのもご愛嬌。アジアならまだしも、アフリカとなると日本からも遠く、情報の多くは欧米経由でもたらされているのが実情。そのせいか今までこの楽器について専門的に研究した書物をみかけたことがなかった。名称にしても部族ごとに異なるため、アフリカの言語にも通じていなければ、その実態はつかみ難いものがある。本書の著者はその点申し分のない経験の持ち主で、大学でアフリカ文化と言語を研究、現地に通って演奏にも精通し、音楽家として活動している。楽器の作り方から図解による演奏法も完備しており、ガイドブックとしても比類ない。演奏家としての体験談にもなかなか考えさせられるものがある。アフリカ音楽の紹介役としてはできるだけ現地風の演奏が求められる一方、個性ある芸術家としては当然音響効果も考えた独自の工夫が求められる。いわゆる民族音楽の演奏家には必ずこの問題が起きるわけで、そのバランス感覚こそ演奏者としての力量を問われるものになるのだろう。


琵琶法師の世界・平家物語
琵琶法師の世界・平家物語

今井勉 (コジマ録音 EBISU-13~19 12,600円)

 平家物語が本来琵琶で語るものであったことはよく知られている。しかし琵琶法師の名前に値する正統的な継承者が今やたった1人しかいないことは、案外知られていないのではないだろうか。元々名古屋の箏曲家は平家を重んじ、琵琶、箏、三絃、胡弓と何でもこなすことが伝統となっていた。現在その伝承を引き継ぐ今井勉氏は50代の円熟期で、安定した歌声による平家物語の全貌が記録された。CD7枚のほか、歴史的名器による演奏の映像もある。解説も充実していて、平家琵琶についてのすべてを知ることが出来る。


十六夜コンサート其の八 小島夕季 ジャワ舞踊の夕べ
十六夜コンサート其の八 小島夕季ジャワ舞踊の夕べ

2009年9月20日17時開演 上野公園水上音楽堂

 ジャワ舞踊小島夕季ほか。ガムラン演奏ランバンサリ。

SCHOOL 佐野靖

夏季教科領域別研修会
夏季教科領域別研修会

和歌山大学教育学部附属小学校

 平成21年7月30日(木)・31日(金)、和歌山大学教育学部附属小学校で「夏季教科領域別研修会」が開催された。全体テーマは「みんなで語ろう!“魅力ある授業づくり”」。以下、31日午後の音楽部会について報告する。

 音楽科の研究テーマは「『比べる』ことでせまる音楽の魅力~思いや意図をもって表現できる子どもに~」。「比べる」というキーワードと「対話」という視点を音楽学習においてリンクさせた実践提案が、田辺麻衣子・江田司両教諭より行なわれた。〔共通事項〕に深く関連付けられた2本の実践が、ともに第5学年を対象とした点も興味深い。

 田辺氏の題材「アジアの音楽に親しもう~メフテル『ジェッディン デデン』~」(全9時間)では、アジアの音楽、グループによる演奏、『トルコ行進曲』の鑑賞という3つの場面で「比べる」活動が取り入れられている。そこには、それぞれの国の音楽の違いに気付いたり、それぞれの演奏のよさを感じ取ったり、共通の楽器やリズムを見付けたりするねらいがある。

 当日は、指導計画第2次「『ジェッディン デデン』を演奏しよう」(5時間)のグループによる演奏の様子、子ども同士の感想・批評が中心に紹介された。表現と鑑賞が深く関連付けられ、しかも、思いや意図をもって表現するための基として〔共通事項〕が活用されていたため、子どもたちの演奏および感想から、音楽的な要素への気付きやこだわりが明確に伝わってきた。また、その活動の様子から、「グループによる協同的な学び」への継続的な取り組みの成果を十分に感じ取ることができた。

 「交響曲第9番ホ短調作品95『新世界から』(ドボルザーク作曲)」を教材に、〔共通事項〕とかかわらせながら、課題解決に向けて子どもたちが追究していくプロセスと成果を明らかにしようとする江田氏の実践提案は、「問題づくりから課題づくりへ」(2時間)→課題を解く(I)「比べて聴こう」(3時間)→課題を解く(II)「調べる」(2時間)の3段階から構成されている。調や音階、旋律の仕組みの一部を学ぶことはもとより、「交響曲とは何か」「他にどのような交響曲があるのか」「ホ短調とは何か」「作曲者はどのような生涯を歩んだのか」等々、探求的な活動をデザインし、かつ〔共通事項〕に結び付いた実践は、子どもの視点に立った教材追究、音源の厳選、独自の指導法開発の必要性をあらためて実感させられる提案であった。

 今秋(10月31日)には、当校にて「学びの質の高まりをめざして~課題に向かう対話を深める~」をテーマに教育研究発表会が開催される。附属小の取組み全体については、『質の高い学びを創る授業改革への挑戦~新学習指導要領をこえて』(仮)(10月31日刊行予定、東洋館出版社)を参照されたい。

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