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Report & Information 2009年2月

GLOBAL 森重行敏

〈BOOK & CD〉
和楽器の世界
和楽器の世界

西川浩平著 (河出書房新社 本体2,000円+税)

 フルート奏者から横笛に転身した著者による和楽器図録。豊富な写真が参考になる。教育現場や一般の愛好家にとっても、日本の楽器の種類の多さはその全貌がなかなか把握しにくいもの。いずれも精緻な工芸品でもあり、こうした写真集は見ているだけでも楽しい。従来も大掛かりなものはあったが、これはコンパクトさが取り得でもある。学者が記述するものとは違い、演奏家の目で見た紹介記事は親しみやすい。ただ、琴と箏の違い、弦と絃の使い分けなど、邦楽用語で必ず直面する諸問題を、易しく表現することの難しさがあることにあらためて実感。また、初版の宿命である誤植もいくつか見られるのは残念。箏の弦名の「巾」が「中」になっているのは惜しかった。三味線の調弦の三下りも音符がずれてしまったようだ。


ヴァイオリンとヴィオラの小百科
ヴァイオリンとヴィオラの小百科

藤原義章著 (春秋社 本体2,800円+税)

 1999年の初版に今回ヴィオラ音楽とヴィオラ・ダモーレの章が追加された。ヴィオラ・ダモーレは多くの共鳴弦を持ったヴィオール族の生き残りで、プッチーニの蝶々夫人にも使われているが、日本ではほとんど知られていない。著者もヴィオラでの演奏を依頼されて苦労したとある。この場合、ヴィオラを使うべきではなく、むしろヴァイオリンに弱音器を付ければ解決するとのこと。たくさんの共鳴弦の存在については、シタールなどのインド楽器の影響を指摘している。ただし、実際には余り効果がなく、著者も共鳴弦に関しては緩い調弦で見た目だけのものにしていることなど、演奏者でなくては知り得ない情報が貴重。


滴・山本普乃オリジナル作品集
滴・山本普乃オリジナル作品集

(ノーザンライツレコード NLRCD-7220 2,800円)

 映画や現代邦楽分野での活躍を続ける三味線演奏家のオリジナル・アルバム。小唄、長唄などの素養の上に現代邦楽の「なんでもあり」的体験を重ねた山本の作品は、文字どおりノン・ジャンルのこだわりのない自由な表現が心地よい。例えれば、音大出身のセミクラシック奏者の立場に近いだろう。しっかりした技術と肩の凝らない音楽づくりはまだまだ可能性を秘めている。名曲『春の海』と『さくら』の合体による「MIYABI」など、その奇抜なアイディアは作曲専門家では思い付かないもの。録音も秀逸で、現代の音楽として一切の予備知識なしに十分楽しめる。

SCHOOL 佐野靖

〈BOOK REVIEW〉

 新学習指導要領の中学校音楽科において歌唱共通教材が復活したり、近年の小学校音楽教科書には共通教材以外にも童謡など日本のうたが数多く掲載されるようになったりと、学校音楽で唱歌・童謡などを取り上げる機会は、一時よりは増えてきているように思われる。にもかかわらず、きわめて経験的な見方ではあるが、それほど教材研究が深められているとは思えない。そこで今回は、そうした唱歌・童謡へのアプローチの1つとして、唱歌・童謡に関して貴重な情報を提供している鳥取の「わらべ館」の研究情報誌と、『浜辺の歌』の作曲者・成田為三の故郷(現在の北秋田市米内沢)に建つ「浜辺の歌音楽館」の公式ガイドブックを紹介することにする。


わらべ館 童謡・唱歌研究情報誌『音夢』
わらべ館 童謡・唱歌研究情報誌『音夢』

(財団法人鳥取童謡・おもちゃ館発行)

 鳥取県は、文部省唱歌の『ふるさと』『おぼろ月夜』『もみじ』などの作曲者である岡野貞一、言文一致唱歌で有名な田村虎蔵らの故郷として、全国に先駆けて唱歌・童謡の普及活動に積極的に取り組んでいる。平成7年に開館された「わらべ館」は、童謡・唱歌とおもちゃのミュージアムであり、『音夢』は平成18年度に創刊された研究情報誌である。
 創刊号には、大阪音楽大学を創設した永井幸次(鳥取出身)の音楽とのかかわりを紹介した特別寄稿「T宣教師とK少年」(安田寛)や「童謡・唱歌のふるさと鳥取のあゆみ」をたどった論考(宮内美由紀)、「岡野貞一の作曲作品は日本の宝!!」(鈴木恵一)などのトピックが掲載されている。平成20年3月発行の『音夢』第2号には、特別寄稿「童謡・唱歌の魅力―うたが世代や地域をつなぐ―」(佐野靖)や論考「高木東六と鳥取県」(藤井浩基)をはじめ、「日本のこころ『ふるさと』を歌おう―岡野貞一生誕130年に寄せて―」(須崎俊雄)など4本のトピックが掲載されている。
 『音夢』第3号は、平成21年3月に発行予定。なお、『音夢』は希望者への配布のみとなっており、創刊号はすでに在庫なし。第2号以降についての問い合わせは、わらべ館 TEL:0857(22)7070 まで。


浜辺の歌音楽館公式ガイドブック
浜辺の歌音楽館公式ガイドブック

(浜辺の歌音楽館監修 税込600円)

 昭和63年に建てられた「浜辺の歌音楽館」の開館20周年を期して発行された公式ガイドブック。ここには、成田為三自筆の『はまべ』と題された楽譜など、音楽館に収められている貴重な資料とともに、「浜辺の歌、顕彰の歴史をふりかえって」(後藤惣一郎)や「為三の知られざる器楽曲」(菊池大成)などの論考、さらにはコラム・インタビュー「あの時に」として、為三ゆかりの方々、資料収録等にかかわった関係諸氏の言葉などが掲載されている。叙情豊かな名作を生みだした成田為三の生涯をふりかえり、また、『浜辺の歌』や童謡『かなりや』の歴史的意義を理解するのには格好のテキストともなっている。問い合わせは、浜辺の歌音楽館 TEL:0186(72)3014 まで。

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