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Report & Information 2007年7月

GLOBAL (森重行敏)

【BOOK】日本戦後音楽史(下)

日本戦後音楽史研究会編 (平凡社 4,800円+税)

 先日ご紹介した上巻に続く待望の下巻が刊行された。1973年以降が本書の対象で、目次の章立てをみても、「前衛の終焉」「ポストモダン」「グローバル化」などのテーマが並ぶ。あとがきにもあるように、今後これだけの規模の通史は登場しないであろうという自負と、グローバル化時代において単一国の音楽史を記述する意味もなくなるであろうという指摘はともに重い予言である。本書も上巻同様550ページ余りの大著で、中でも後半120ページほどの年表は労作。いわば最初で最後の本書の刊行を機に、今後は個別の研究が進むことを期待したい。果たして21世紀の日本の音楽はいったいどこへ行き着くのであろうか。なお、上下両巻の購入者には特典CDのプレゼントがある。

【BOOK】あたらしい教科書13「古典芸能」

金原瑞人監修 (プチグラパブリッシング 1,500円+税)

 大人のためのファーストブックをテーマにしたシリーズ。今回は歌舞伎、狂言、能、文楽、落語の5章に分かれた内容。いずれの章も冒頭に若手スターへのインタビューを置き、次いでキーワードの解説が続くスタイル。インタビュー相手の選択には自信があるというふれこみ通り、確かに各界を代表する若手が揃い、古典と現代のはざまに生きる若者の本音も聞かれて興味深い。

【BOOK】心にのこる日本の歌101選

長田暁二編 (ヤマハミュージックメディア 2,000円+税)

 2007年1月に文化庁と日本PTA全国協議会が発表した「親子で歌い継ぎたい日本の歌百曲選」の結果選出された101曲の楽譜集。昨年公募した6,600通余りのアンケート結果によるもので、現時点におけるいわば日本人の愛唱歌統計集としての意味もある。内容はわらべ歌から唱歌、童謡、歌謡曲、ポップスと幅広く、最新曲は2003年『世界にひとつだけの花』。明治初期の翻訳唱歌や、戦後の『しあわせなら手をたたこう』『ドレミの歌』など少数の外国曲も混じるが、ほとんどは確かに日本人の血や肉になった愛唱歌ばかり。とはいえ、最近の音楽教育の多様化も相俟って、もはや唱歌を歌える若者は少ないのも事実。やがてはここにあげられた曲を知らないことが普通のことになってしまうのだろう。音楽が時代に連れて変化するのは当然であるが、世代を超えた存在の曲がまったくないというのも一抹の寂しさはある。なお、本書は一曲ごとに詳細な解説付きであるが、同一趣旨ながら、純粋にメロディーだけの楽譜集〈日本のうた101〉も野ばら社から出版されている。

SCHOOL (佐野靖)

【BOOK】世界の創造性教育

弓野憲一編著 (ナカニシヤ出版 2,400円+税)

 本書は、世界的な教育改革の潮流の中で、各国(日本・中国・台湾・アメリカ・カナダ・イギリス・ドイツ・フィンランド)が、どのように創造性教育に取り組んでいるのかをまとめたもの。科学的でアカデミックなものを中心に取り上げているが、創造性にかかわっては芸術教育を避けて通ることはできない。

 例えば、第1章の日本では、1960年代以降、言葉に差はあれ、「創造性」伸長の必要性が唱えられてきたにもかかわらず、実際にはそれほど学校教育に浸透してこなかったのではないかと歴史的な課題が提起され、教科と「総合」とが結び付いたモデルとして、京都教育大附属桃山小の「Arts in Education」や兵庫教育大附属小の「ミュージカル」の取り組みなどが紹介されている。

 また、「才能教育」にかかわって、日米でのとらえ方のギャップを取り上げ、アメリカでは、通常カリキュラムのなかで評価される学力に還元できないさまざまな能力をもカバーできるような「拡充」を中心としたプログラムに比重を置きつつ「早修」の要素を取り入れる傾向が強くなっているという叙述は興味深い。さらに、ガードナーの「多重知能理論」を実践に適用し、制作、知覚、反映を循環させる教授・評価活動のシステムを開発したArtsPROPELなどのプロジェクトが紹介され、日本での応用可能性が示唆されている。

 終章では、創造性育成の方法の例示としてKJ法やNM法、概念地図法や参画授業、さらに創造的作文やディベートの実践例などが挙げられ、教育的な効果と課題が分析されている。

【BOOK】実践研究報告「日本の伝統・文化を大切にする子どもの育成──地域とのよりよい協働をめざして」

(東京都足立区立長門小学校)

 それまでの「互いに認め合い、伝え合う力」の実践を根底に置きつつ、2005・2006年度、地域とのよりよい協働を探る中で、「日本の伝統・文化」を素材として、子どもたちの確かな学力と豊かな心をはぐくむ実践研究に取り組んだ長門小学校。本研究は、地域の教育力を生かした協働を学校づくりの視点から探っている点、新たに創るよりも今までの見直しから始めている点、自己理解と他者理解を基本に据えている点、などが特徴的である。そのため、何処の学校でも、見方や考え方を少し変えれば実践可能な内容が提案されている。

 各教科等ごとに学習指導要領の主な記述と特別活動・学校行事とのかかわりを精査し、年間指導計画に基づいて「伝統・文化」にかかわる教育活動を抽出して作成された「日本の伝統・文化理解教育」暦を見ると、例えば、低学年・音楽の「わらべうた」の単元は、年間にわたって国語や生活科の単元とも関連し合い、さらには中学年のリコーダーや物語と音楽の活動とも結びついている。

 さまざまなかかわり合い(子ども・教師・地域等)の中で学び合いが生まれ、子どもとともに教師も変わっていく姿が、報告書からも伝わってくる。

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